やさしい税務会計ニュース
やさしい税務会計ニュース
文書作成日:2025/04/22
法人市民税における「寮等」とは

[相談]

 当社(株式会社)は、このたび、本店の所在するA市に隣接するB市内に、従業員Cが居住するための社宅を賃借することとなりました。
 そこでお聞きしたいのですが、上記の場合、当社にB市への法人市民税(均等割額)の納税義務は発生するのでしょうか。
 なお、B市には当社の上記社宅以外の支店・事務所等は一切存在しないことを申し添えます。

[回答]

 ご相談の場合、貴社にはB市への法人市民税(均等割額)の納税義務は発生しないものと考えられます。詳細は下記解説をご参照ください。

[解説]

1.市町村民税の納税義務者等に関する規定の概要

 地方税法では、市町村民税は、次の@の者に対しては均等割額及び所得割額の合算額により、Bの者に対しては均等割額及び法人税割額の合算額により、A及びCの者に対しては均等割額により、Dの者に対しては法人税割額により課すると定められています。

@市町村内に住所を有する個人
A市町村内に事務所、事業所又は家屋敷を有する個人でその市町村内に住所を有しない者
B市町村内に事務所又は事業所を有する法人
C市町村内に寮、宿泊所、クラブその他これらに類する施設(以下、寮等)を有する法人でその市町村内に事務所又は事業所を有しないもの
D法人課税信託の引受けを行うことにより法人税を課される個人で市町村内に事務所又は事業所を有するもの
2.「寮等」とは

 総務省によれば、「寮等」とは、寮、宿泊所、クラブ、保養所、集会所その他これらに類するもので、法人が従業員の宿泊、慰安、娯楽等の便宜を図るために常時設けられている施設をいい、それが自己の所有に属するものであると否とを問わないものであることとされています。

 また、寮、宿泊所、クラブ等と呼ばれるものであっても、たとえば、鉄道従業員の乗継のための宿泊施設のようにその実質において事務所又は事業所に該当することとなるもの、又は、独身寮、社員住宅等のように特定の従業員の居住のための施設等は、もとよりこれに含まれないものであるとされています。

 したがって、今回のご相談の場合、B市内の社宅が特定の従業員(従業員C)の居住のためのものであることや、B市内に支店・事務所等が一切ないことを総合的に勘案しますと、貴社にはB市への法人市民税(均等割額)の納税義務は発生しないものと考えられます。

[参考]
地方税法294、総務省「地方税法の施行に関する取扱いについて(市町村税関係)」など

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。



消費税課税売上割合の端数の取扱い2025/04/15
課税売上割合に準ずる割合の適用を受けるための手続きと留意事項2025/04/08
贈与者が贈与した年の中途に死亡した場合の相続時精算課税選択届出書の提出先2025/04/01
取得費加算の特例を相続した暗号資産の売却に適用できるかどうか2025/03/25
会社設立2期目からの事業活動とインボイス発行事業者の登録2025/03/18
会社が負担した従業員の資格取得費用の損金算入時期2025/03/11
不動産所得が赤字の場合における損益通算の特例とは2025/03/04
予定納税額を納めていない場合の確定申告書への記載方法2025/02/25
経営コンサルタントに支払う報酬と所得税の源泉徴収義務2025/02/18
iDeCoにかかる退職所得控除額の調整制度の改正(予定)内容2025/02/11
住宅ローン控除の適用に係る手続における「調書方式」とは2025/02/04
防衛特別法人税(仮称)とは2025/01/28
住宅ローン控除を適用した後に3,000万円特別控除の特例の適用を受けられるか2025/01/21
2度目の住宅購入について、住宅ローン控除を適用することができるのか2025/01/14
特例対象個人とは2025/01/07
お問合せ
岩垣会計事務所
〒542−0081
大阪市中央区南船場1−3−14
ストークビル南船場10階
TEL:06−6266−9075
FAX:06−6264−5208
メールでのお問合せ